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2022年4月

ケルナー馬頭琴 製作日記(2)

 < 胴工程2 >

 表裏甲板の加工が終了したら次に側板の製作に進みます。

馬頭琴の胴は台形になります。

サイズは、上辺180mm×下辺275mm×脚部(左右の斜辺)310mm

で厚さ70mmの台形枠を作成します。

材種は桐で厚さ4mmのものを用意します。

 

板どうしの接合方法には、ダボ継・留め継・組継・トンつ継(俗称イモツギ)等

何種類もありますが、馬頭琴の場合接合角度が90度ではないので俗にゆうバカ留め継

で接合します。

上部は90度より鈍角、下部は鋭角になりますが、それぞれ接合部の小口を半分の角度

で切断して張り合わせるのをバカ留め継といいます。直角より難しいですね。

左右の脚部を同時に切断すればピッタリ左右同じ角度になります。

バカ留め継の接合ではゴムバンドで左右の対称を見ながら同時に絞めて接着します。

作業にスピードが要求される為、撮影する余裕が無く、画像がアップ出来ず済みません。

 

枠の加工が終了しましたら、表裏板を接着します。

接着には、クランプ、ゴムバンド等を用いますが、甲板のアーチ部に強い圧力が

掛からないよう注意が必要です。

接着剤には、膠とタイトボンドを使い分けています。

後日、取り外してリペアーする可能性のある箇所には、膠を使います。

音響的な影響という点では、どちらも大きな差は無いとというのが、わたくしの経験上

の見解です。

 

 つぎにいよいよネックの製作に入ります。

馬頭琴のネック(棹)には、ご存知の通り馬の頭部が彫刻されています。

この彫刻の為、馬頭琴の量産が難しいとされる理由の一つです。

でも、ここが製作l家の腕の見せ所と楽しみでもあります。

                                                        

ケルナー馬頭琴頭部モノクロ

 

ネック材はなるべく硬い材種を用います。

弦の張力に負け、ソリが出て弦高が高くなるのを避ける為です。

今回は、メイプル材(継ぎナシ材)を使いました。

 

メイプルは堅材ですので、角材からいきなり頭部を彫刻するのには大変手間と労力が掛かります。

そこで、おおまかな形状をテンプレート(雛型)を使って木取っておきます。

 

ケルナー馬頭琴頭部テンプレート                      ヘッド部テンプレート

 

次にイメージラインをスケッチしておいて、ノミ・彫刻刀で根気よく彫ってゆきます。

動物の顔は人・猿類意外は左右を正面から見ることが難しく、また木目も逆になりがちな為、

左右の違いが出てしまいがちです。時々反対側を確認しながら彫り進めていくのがポイントです。

 

頭部の彫刻が終了したら、胴に接合します。

弦楽器のネックの接合方式には、ダボ接合・アリ(ホゾ)接合・スルーネック式と

ありますが、わたくしはいつもアリ(ホゾ)式で行っています。

アリ式の中に、両アリ式という方法があります。

これは、突起部分(楽器の場合はネック側)のアリに、差し込む方向と引っ張られる方向

の両方にテーパー加工(逆ハの字型)をします。

そして受け側の溝にも同じテーパーの溝を彫って差し込みます。

こうすることによって、差しこむほどに両接合面に力が加わり引っ張り方向に対して

強い耐久力が得られ、また逆ハの字型の加工により完全に抜けなくなります。

テーパー角は70°~75°が最適とされています。

 

ネックの取り付けは一発勝負でやり直しが出来ませんので、胴の中心線に沿うよう、また

設定した駒の高さが出るよう、アリと溝の合わせを調整しながらネック角を決めていきます。

何度も確認し、問題なければ接着剤を着け差込みます。

アリと溝の加工が完璧なら、クランプ固定の必要はないでしょう!

 

 

ケルナー馬頭琴カカト接合部

 

次に、ネックの接合が出来たら指板の取り付けをします。

フレットを打ち込んだ完成指板を接着する方法と接着してからフレットの打込みをする方法がありますが

わたくしは指板を接着した後にフットを打込みます。

この理由は、指板接着後 完全に接着材の水分が抜けてから指板のレベリングを出したほうが、狂いが少ない

為です。フレット打ち後の摺り合わせ量も最小で済みます。

いずれの手順においても、指板の接着前にネックの反りがなくストレートである事が必須条件です。

                  (フレット摺り合わせ作業については、製作日記(3)で説明します。)

どちらにも長所短所があり、生産性も含めてどちらが正しいとは断定出来ないところです。

 

 そしていよいよ、フレット打ち作業です。

ここで、ケルナー音律の登場です。

まだオフィス・ドルチェのホームページで古典音律のページやサイトをご覧になっていない方には、音律

とかケルナーが何か、把握出来ていないかと思われますので、この点も含めて次回、製作日記(3)で

詳しく説明する事にしまして、製作日記(2)はこれまでとさせていただきます。

今回も最後までご覧戴きありがとうございました。

 

  

 

 

2022エンジェルスハープコンサート&展示会

 新型コロナウイルス感染拡大第6波も現在下げ止まりの状況で収束のめど

が見えない日々が続いています。

一日も早く平穏な日々を過ごせるようになる事を願うばかりです。

 

 そんな中、感染予防対策を充分取りながらコンサート&展示会を今春も開催いたします。

場所は昨年に引き続き、信毎メディアガーデンです。

詳細は以下の様になります。

 

        エンジェルスハープコンサート&展示会

 

  日 時   5月29日(日)

         開  演   PM 2:00 ~ 4:30

         コンサート  PM 3:00 ~ 3:30

 

  場 所   信毎メディアガーデン 3階スタジオ

         〒390-8585 松本市中央2-20-2

 

  入 場   無 料

 

  注意事項  ・ 入場にはマスク着用と手指の消毒をお願いします。

        ・ 又、体調不良の場合は入場をお控えください。

        ・ 新型コロナ感染拡大防止対策として、入場者数の制限を40名と

          しております、制限を超える場合入場できない場合もございます

          のでご了解下さい。

 

  今回のイベントでは、新たに開発した楽器の展示とデモ演奏をいたします。

  この新製品は、ケルナー音律を正確に演奏出来るよう専用のフレットを施

  した3弦仕様の馬頭琴です。

  弦は従来の馬毛ではなく、スティール(金属)弦を使用しています。

  これにより、高音域も正確な音程と豊な表現力を備えています。

                    

 

ケルナー馬頭琴全体画

                       ケルナー馬頭琴

 

 

 EH300・2021モデル                    エンジェルスハープEH300モデル

 

          当日、無料で試奏・体験レッスンも出来ますのでスタッフにお声掛け下さい。      

       

 

   

 

ケルナー馬頭琴 製作日記 (1)

 弦楽器工房オフィス・ドルチェでは、古典音律による音楽の普及をめざして、

此れまで、エンジェルスハープ・ケルナーギターを開発、製作してきました。

また、さまざまなジャンルの曲を古典音律で演奏する中で、滑らかな旋律性と心地よい

和声が得られ、12等分平均律による音楽とは全く違った感性を覚える事を体現してきました。。

 そこで、さらなる次の段階への挑戦を進めてゆきたいと思います。

 

 エジェルスハープやケルナーギターはいずれも撥弦楽器でしたが、より純正協和音のハーモニー

を充実させるにはどうしても擦弦楽器の参加が必要と考えました。

 

そこで馬頭琴を15年間製作してきたノウハウを活用して、3弦で和音を出せる馬頭琴を考案しました。

これに、ケルナー音律で正確に演奏出来るようフレットを取り付けます。

このフレッティングはケルナーギターのノウハウを応用したもので、チューニングも高音側から

E・B・Gとしました。

この3度4度チューニング法ですと、3弦での和音フィンガリングが大変容易になります。

 

今回は、製作工程を画像を交えながら説明していこうと思います。

細かな工程の画像は省略してありますが、ご了解下さい。

 

 まず第一工程です。

擦弦楽器を全音域バランス良く響かせるには表裏甲板をアーチ状に削り出す必要があります。

次の写真が削り出した表甲の下部から撮影したものです。

 

ケルナー馬頭琴表甲アーチ                                                                            

 アーチの高さにはいろいろな考え方がありますが、高いほうが発生する倍音成分が豊か(複雑)になり、

艶のあるブリリラントな高温が発生するというのがわたくしの見解です。

アーチの高さは約29mm有ります。今回は30mm厚の国産ヒバ材(張合せナシ)から削り出しています。

厚サは中央で4mm、外周部で2.8~3mmになります。

完全乾燥からシーズニングを経た材料ですが、それでも2週間程掛けてゆっくりと削り出してゆきます。

削られることで水分が少しづつ抜けて、ゆがみ・たわみ等の変形がどうしても生じますので、それを観察し

修正しながら作業を進めます。

最初に表面の曲面を決め、次に裏面を削り出し厚さを決めてゆきます。

工具はヴァイオリン用の西洋鉋(カンナ)ではなく、日本式の小型丸鉋と大小の丸刀を使います。

 

工具

 

 

裏面が削り終えたら、バスバーを取り付けます。

バスバー(力木)の役目は、駒で受け取った弦振動を速く甲板の外周部まで伝える事と、駒からの圧力

による甲板の変形を防ぐ事です。

 

 

ケルナー馬頭琴表甲裏面

 

左右の響穴(サウンドホール)は削り出しをしてから加工します。

モンゴル風のデザインは大変繊細で手間のかかる作業です。

工具は糸鋸(イトノコ)と先端の細い小刀を使います。

正面から見て、木口が目立たないように、ハの字型に奥の方を多めに削るのと、純目・逆目を見て

削り跡が滑らかになるよう加工するのがポイントです。

写真の小刀は、かれこれ20年使っているもので先端が細く、モンゴル風のサウンドホールの細かい

部分の仕上げには欠かせない工具です。

 

小刀

 

 

同様に裏甲を加工して行きます。

裏甲は馬頭琴の場合、表甲のように強いアーチ状にはせず若干膨らみが解る程度にします。

裏甲と側板は国産の桐材(1枚もの単板)を使いました。

メイイプルより、柔らかくまろやかな低音にしたかったのが理由です。

いつも心がけている事ですが、設計の段階でどんな響き・音色をめざすか、イメージを持つ事

が大切だと思っています。

 

ケルナー馬頭琴裏甲裏面

 

製作日記(1)はひとまずここまでとします。

 

     ご覧いただきありがとうございました

           次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

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